ハマの海づくり 7

「金沢水の日」の10年

  

 去る日曜日の1012日、金沢区の森・川・海・街で活動する14の市民団体が構成する実行委員会が主催した第10回金沢水の日が野島公園をメイン会場として開催された。

朝のうちは前夜からの雨が残っていたため、一部の野外イベントが中止となり、来場者の出足も鈍かったが、昼ごろからは薄日が差し汗ばむような陽気に恵まれた。

「海をつくる会(海会)」は、前日から泊り込みで採集した海の生き物を水槽に入れた「野島の海の水族館」とアマモ場の造成作業のジオラマ模型を出展した。他にも、バーベキュー場で地元産ワカメを使った味噌汁を無料配布したり、海浜清掃や生物観察会を行った。

そもそも水の日は、海会とナチュラルコープヨコハマ、ガールスカウト第53団、新金沢発掘隊(SKOP)の4団体が行った野島海岸の清掃イベント、「野島ビーチ500」を母体として発足した。このイベントは、横浜唯一の自然海岸である野島海岸を大切にしようと呼びかけたものだったが、その視点を海岸から流域へと拡げたのである。

発足当時の10年前は金沢区役所に熱意ある担当者がおり、資金面はもちろん、会議室・駐車場の提供や備品の使用にいたるまできめ細かな支援を図ってくれた。当日には区役所の部長、課長も顔を見せ、当時としては斬新だった市民と行政との本格的な協働イベントとして、様々な方面から注目された。

その後の10年間で何が一番変わったのかを考えると、区役所の関与が希薄になってきた事が第一に挙げられる。「実績をあげ、地力をつけた団体への支援は打ち切り、他の支援に回る」というのが行政の一般的な考え方のようだ。

だが、協働者としての行政の使命は終わったわけではない。流域内のネットワークを確立した今、我々には隣接する流域や東京湾岸とのネットワーク形成という新たな飛躍が期待されている。ステップアップを果たすためには、再び行政の強力な後押しが必要だと感じている。

今回会場には、水の日の10年間の歩みを振り返るパネルを展示した。そろそろ、これまでの枠組みを抜本的に変える時期に来ているのかも知れない。

海会が展示した野島の海の水族館(横浜市野島青少年研修センターにて 筆者撮影)


海をつくる会 工藤孝浩