ハマの海づくり 16

ゴミってなんだろう?

 

 「海をつくる会」の活動の原点は、身近な海に関心を持ち、そして再び親しめる環境にしていくための山下公園での海底清掃である。現在ではそれ以外にも、野島海岸、芦ノ湖の清掃などにも取り組み、更にお台場の海底清掃などのイベントにも積極的に参加している。 このような清掃活動を行っていると「ゴミとはなんだろう?清掃活動はどのようにすれば良いのだろう?」と考えることがある。

 場所によって、また季節によってゴミにも当然違いがある。野島海岸にはレジンペレットのような漂着ゴミやビニール袋や潮干狩りに使った道具のような生活ゴミが多く見られる。山下公園ではそれ以外に変わったゴミも多い。タイヤや自転車、いすやテーブル、そして三角コーンなどの工事資材、携帯電話や傘などだ。当然空き缶や空瓶も目立っている。

 海底清掃の時は、これらのゴミを参加者みんなでどんどん拾っていく。その後で集めたゴミを分別してみると、その中に小さな魚やカニなどが混ざってくる事がある。じつは海中の空き缶やビニール袋の中で暮らしていたり、入り込んでいたりした生き物がゴミと一緒に連れて来られてしまうのだ。分別中に見つけた生き物たちは必ず海に返すようにしているが、人間が彼らの生活の場に捨てたものを利用して生き抜いている姿は、たくましくもあり、また悲しくもある。清掃の際にはゴミは拾ったほうが良いのだが、彼らの棲み家を奪ってよいのかというジレンマがそこにはあるのだ。

 逆に海の生物を清掃作業で回収する場合もある。海の富栄養化が原因でアオサという海藻が野島海岸で大量発生した時期があった。そのときは海岸に打ち上げられたアオサだけでなく、地引網を使って海中のアオサも回収した。放っておくと大量発生したアオサが微生物により分解され、その時に大量の酸素を消費するのでアサリ等が窒息してしまうからだ。

 清掃活動では人工物だからゴミ、天然物は大丈夫といった捉え方でなく、その場の環境に対しての影響を判断する必要がある。
 ゴミってなんだろう?

 単純なようで、ちょっと考えねばならない問題だ。 

海をつくる会 諏訪部英俊