ハマの海づくり 20

アマモ復活の兆し!

 

昨年5月末、富栄養塩化の進んだ東京湾で発生した赤潮により、野島沖の海ではカニや貝が死滅しただけでなく、海草のアマモまでが死滅してしまった。
 その後の夏から秋にかけての海は、水温が高くプランクトンの発生が盛んなため透明度が悪い。このため、新たなアマモの生息を発見できずにいた。

冬場に入り、海水温の低下とともにプランクトンが減り透明度が上がってくる。昨年末、地元の漁師の方から「アマモを見たよ。」と嬉しい情報を教えて頂いた。そしてついに今月17日に行った野島の定点観察で、コアマモというアマモの仲間の群落を確認することができた。2m四方の群落をはじめ数十株程度の小さな群落も複数あった。昨年の大規模な被害をもたらした赤潮に息絶えることなく生き残っていたものと思われる。

コアマモの近くにはのりひびがあり、黒茶色の海苔が大きく育って波に揺れていた。岸よりの浅場には寿司ねたのアオヤギで有名なバカガイが日光浴でもしているかのように砂の上に出ている姿が沢山見られた。アサリが潜っている証拠を示す小さな穴も無数に見られた。貝も大分復活してきたようである。このわずかな範囲を見る限り、非常に豊かな海を感じる。

この日の天候は雪。最高気温3.1度、水温9度と今年一番の冷え込みであった。海から上がってきてもまだ雪が降っていたが、そんな寒さを忘れさせてくれる海の中の様子であった。今年の初潜りにふさわしい気持ちのいいダイビングであった。

自然は壊れやすい。しかし、生きものには、したたかさや逞しさがある。横浜の海ももう少し環境が良くなれば、より多くの生きものが生息でき、豊かで楽しい海になるであろう。

「海をつくる」ということは、とても人手でできることではない。しかし、埋立てて海を壊してきたのは人間である。生きものの逞しさと自然の力の協力が得られれば、より豊かな海に近づけることは決して不可能なことではない。大規模な土木事業ではなく、ボランティアレベルでも出来ることもある。

少しでもが元の姿に戻れるような環境をつくる会として当会はボランティアレベルの活動を続けている。


海をつくる会 4代目会長  伊東 徹雄


野島で見つかったコアマモの群落
  2004117日筆者撮影