ハマの海づくり 23

東京湾自然再生活動のネットワーク

 

 われわれの活動は、東京湾を美しく豊かな海にしていきたいと考えてのものだが、ふだん活動する山下公園や野島は、東京湾の中ではどんな位置づけになるのだろう。そうした疑問が湧くことがある。日常的には陸からアプローチして海にいくことしかできないため、周辺の海とのつながりが解らないのである。周辺の海は我々の活動場所にどういう影響を与えているのだろう。我々の活動は周辺の海にどう影響を与えているのだろう。そういう疑問である。
  しかし、徒歩で周辺の海を見に行こうにも、東京湾のように産業利用が進み、企業に占用されていることがほとんどの場合、海辺に近づくことすらできないのが現状である。

  こうした疑問を解決させるため、今年、1月25日と2月1日の2回に渡り、日常的に交流のある他地域の市民活動団体の有志が集まり、船で東京湾沿岸の視察を行うことに参加した。1日目は、横須賀を出航し富津から千葉県側を北上し東京まで行くコース、2日目は、同じく横須賀を出航し神奈川県側を北上し、東京まで行くコースである。

各地域へ行く毎に、その地域で活動する市民団体が、場所の解説にあたったが、さすがに思い入れが強く熱弁になる。この熱弁がまた面白い。しかも、この熱弁が移動する毎に連続で続くのである。こうした解説を聞き、驚きや感動を得るとともに、課題についても共感できた。もっとも良かったのは、それぞれの活動が確実に他地域へ繋がっていることが実感できたことである。

「東京湾ってここから水の色が変わるんだ。」「せっかく環境保全活動があっても分断されている。連続性がほしいなあ。」など、様々な意見が飛び出してくる。

ビオトープネットワークという言葉がある。生き物の生息場をネットワーク化させることで機能させていこうとするものである。東京湾でこうしたビオトープのネットワーク化を図り、自然環境を再生させていくためには、各地域の市民活動だけでなく、様々な人たちが参加し、ネットワークを創っていくことが重要ではないかと実感できた船旅となった。

海をつくる会 木村尚

海からアプローチした野島。(筆者撮影)