2001年11月24日(土)野島定点観察報告


   「海にも紅葉がいっぱい」

                        

参加者:伊東会長、坂本事務局長&渚ちゃん、諏訪部ご夫妻、荒井さん、反田

 当日は朝から好天に恵まれ、雲ひとつない快晴で、風もない素晴らしい日でした。研修センター脇の山は木々が赤・黄・茶に色づいて、それに常緑樹の緑も混じって美しい光景が印象的(特に神社のケヤキの葉の赤銅色と空の青とのコントラストが私の一押し)。朝から研修センターの職員が総出で落ち葉を掃いており、その掃く音と、時折、鳥の声だけが聞こえるとても静かな、そして爽やかな朝でした。

 今回はアマモやその他の生物調査をする予定でしたが、アマモの生育状況を記す野帳と位置測定用のメジャーの手配に行き違いがあり、アマモの株の位置をメジャーで確認する作業が必要な鋼矢板側のアマモ調査は中止とし、棒岩側のアマモのみを潜水調査することにしました。棒岩側も同じく野帳がないため、調査方法としては、諏訪部さんの超新品の水中ビデオ(何とビデオライト2台付きのプロ仕様!)でアマモの生育状況を撮影し、後日、映像を見ながら野帳に記録することになりました。また、荒井さんたち女性陣が陸上班として海岸を調査することになりました(結果は荒井さんがメールで報告済みですのでここでは割愛します)。

 坂本さんは事務局長として横浜市内特殊学級に通う児童生徒のキャンプ用のプレゼントをてきぱきと準備。私が何気なく坂本さんの足元を見ると、冬間近というのに、な、何と裸足にサンダル履き。愛娘の渚ちゃんが「パパは冬でも裸足にサンダルなの。靴を履くのは会社に行くときだけよ」と言っておりました(坂本パパの反論は「運動会用の運動靴も持ってるもん。ほかにも…むにゃむにゃ…」)。寒さを感じない(or我慢できる)なんて、坂本さんは本当にダイバー向きの体なんだなぁと、寒がりの私は妙に感心してしまいました。そして女性陣の間では「冷え性」の話題に花が咲いておりました。

 潜水班は、坂本さんと諏訪部さんがウエット・スーツで、伊東さんと私がドライ・スーツを着用。私はマイ器材を西伊豆・大瀬崎のショップのロッカーに預けてある関係で、野島では女房の器材を使っているのですが、器材をセッティングする場面になって、ドライにつなぐ中圧ホースがないのにやっと気付きました。それを見ていた諏訪部さんがご自分のエアブラシ用の中圧ホースをはずして私に貸してくださいました。伊東さんもわざわざ私のためにタンクを手配してくださり、あぁ、海会の人たちは何と親切なことか!と感激しまくってのダイブでした。

 海に入るとさすがに「冷たぁーい」という感じでしたが、透視度は非常に良く、たぶん10m以上はありました。ただ、野島の場合、岸に近い方は砂底なのに対し、沖の方は粒子の細かい砂泥底のため、うねりがあると、手前は透視度が良くても、沖の方は細かい粒子が舞い上がってしまい、透視度が若干落ちるようです。沖には人工島の八景島があり、防波堤の役目をしていると思っていたのですが、この日はなぜかうねりが入っており、沖のアマモが自生している付近は透視度が数m程度に落ちていました。それでも、私にとっては充分すぎるほど。潜行すると、半透明のハゼが泳いでいます。これが「あのニクハゼか」と興奮してカメラに収めようと近づくと、1、2mの距離を置いて逃げていくではありませんか。「逃げる魚と女性は追わない」主義の私ではあったのですが、興奮のあまり今回は特例措置として追っかけてしまいました。結局、距離を縮められずに撮影できませんでした。実はこれがアイナメの卵塊を見逃すことになると、この時は気付きもしませんでした。何と伊東さんと諏訪部さんは棒岩の下でアイナメの雄が卵塊を守っているという素晴らしいシーンを撮影していたのです。私はニクハゼを追った結果、棒岩を通り過ぎてしまい、棒岩周辺をチェックするのを忘れてしまったので、卵塊を見ることができなかったのです。アイナメの卵塊を水中で見たのは1990年2月の大瀬崎以来となるはずだったので非常に残念!です。追わない主義を通せば良かったのにと悔やまれます。

 アマモの観察場所に行くと、海底は黄色いヒトデに埋め尽くされていました。こんなにヒトデを一度に見るのは初めてです。よぉーく観察すると、ムラサキイガイの塊に喰い付いて貝をこじ開けようとしているのもいます。また、ひとつの餌(?)に群がっているのでしょうか、ヒトデがボール状になっているのもありました。陸上では落ち葉の季節を迎えていますが、海の底でも紅葉(もみじ)ならぬヒトデが黄色く色づいて落ちて(?)いるとは…。先月、「金沢水の日」のイベントの前日(10月20日)に潜った時は、ヒトデが僅かに散見された程度でしたので、たった1ヵ月間にこれだけ"湧いて"しまうとは本当に驚きです。「野島の海、恐るべし」です。ほかには、テッポウエビと同居しているスジハゼは幾分成長して大型の個体が目につくようになりました。写真に写すと水色の斑点が宝石のように輝いてとても綺麗です。クサフグは相変わらず砂の中に体を半分埋めて寝ています。そうそう、肝心のアマモは丈がかなり伸びたようで「茂ったなぁ」というのが第一印象でした(諏訪部さんの撮影結果を見なければ断定的なことは言えませんが…)。冬場は透明度が上がる季節で、このあと、アマモは陽射しを受けてどんどん生長するようですので、今後も生長を見守っていきたいと思います。

 潜水して45分程すると、周りに誰もいないことに気付きました。そろそろエキジットしたほうが良いのではと思い、途中、アオサのなかを、ヨウジウオを捜しながら帰りましたが、ついにヨウジウオは見つけられませんでした。和名のヨウジウオは一般のレジャー・ダイバーが潜るポイントにはほとんどいないため、私はまだ、水中では見たことがありません(伊豆で普通見られるのはヒフキヨウジなど)。岸に向かう途中で特筆すべきは水中からみた景色の美しさです。淡いブルーがかった透明な水に白い砂という感じで、どこか南洋の海を思わせる光景でした(冷たさを除けばですが…)。陸に揚がって一旦、器材とウエイトを突堤に置いて、フロートを回収するため水に戻り、水中をスキンでいく途中、何とヨウジウオがいるではありませんか。こういう時に限ってカメラがありません。邪魔だと思い器材とともに置いてきてしまいました。ニクハゼは×、ヨウジウオも×、アイナメ卵塊も×と、×だらけでこの日はとことん、ついていない私でしたが、楽しみは次回にとっておくことにします。

 フロートを回収して海から上がると、伊東さんが携帯電話でFM局のラジオ放送に会長として"生出演"し、今見てきた海の様子を語っていました。今度、機会があったら聞いてみたいものです。昼前には荒井さんが採集した海藻を持って一足先にお帰りになりました。お昼は恒例となりつつある近くの中華屋さんの出前です。どのメニューを頼んでもボリュームが凄い!!最後まで食べるのが本当に大変というシロモノばかりで、今回も最初はおしゃべりしながら食べていたのですが、次第に無口になって、最後はTVチャンピオンの大食い選手権の様相を呈して終わるといった感じです。今回は男性陣が中華風カツカレー、女性陣が五目ソバでした。このカツカレー、具には中華食材がふんだんに使われており、胃の丈夫な(or大きな)人にはオススメです。もちろん味は満点に近いですよ。ということで、昼食後、1時半過ぎに解散となりました。

 当日観察した魚種(魚以外、よくわかりませんので)は以下の通りです。
ボラ、クロサギ幼魚、ニクハゼ、アシシロハゼ(同じマハゼ属なのでこれまでマハゼと混同していました)、スジハゼ、ヒメハゼ、ヨウジウオ、ヒラメ(有眼側が一部白い色彩異常あり)、アミメハギ、クサフグ、それと私は見ていませんがアイナメ雄とその卵塊

潜行開始:10時13分、浮上:11時04分、潜水時間:51分、水深:最大1.9m、平均1.6m、水温:最低14.0℃、平均14.1℃、天候:快晴、風:なし

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