2002年11月23日(土)野島定点観察報告 


「十目ラーメン」

                        

参加者:坂本事務局長、鈴木副会長、木村(喜)さん、木村さん(尚)、
荒井さん、相原さん、安齋さん、川嶋さん、伊東(め)さん、高橋さんご
夫妻、反田、ほかにもう1人いらした記憶あり

 今年の冬は早いですねぇ。野島までのサイクリングもちょっときつく
なってきました。いつものように夕照橋に差し掛かると荒井さんが歩いて
おられました。金沢八景の駅から徒歩で野島まで来ているとのことです。
少し寒いくらい私は我慢しなければいけませんね。前回の10月の野島では
「金沢水の日」の地曳網でギマというカワハギの仲間が沢山網に入ったの
で、水中でギマを未だ見たことがなかった私は「水中でギマに遭えるかも
しれない=撮影できるかもしれない」と思って楽しみにしていたのでした。
ただ、10月の終わりから冬将軍が到来、野島沖は遠浅の海なだけに水
温の大幅な低下が予想され、野島のギマは死滅あるいは沖合いの深みに移
動した可能性も考えられ「もしかしたら遭えないかもしれない」と、
ちょっと不安もありました。

 今回は昨年、ボ岩側のアマモ場に設置した観察用のメッシュ・ロープを
撤去する予定も組まれています。ボ岩側のアマモの調査が一定の成果を得
て、1年以上に亘るアマモの生育状況が観察できました。今年3月にメッ
シュの一角に移植したアマモの苗はすでに群落を形成して完全に定着して
います。次の段階として、別の場所で来年3月に植える予定のアマモ苗の
生育状況を見守ることになりました。アマモが生えていない海底に1m
メッシュで5m×5m程度のロープを設置、そこにアマモの苗を植えて毎月
観察する計画です。アマモの生育していない場所にもアマモが定着できる
ことを証明できそうです。もし、苗を植えてない区画で天然の苗が発芽し
たら、植えた苗と天然の苗との生長の比較もできそうです。今回はその前
段階の準備作業になります。

 陸上班はいつものように陸上定点の観察とデジカメによる撮影、潜水班
は前半を生物観察に充て、後半をロープの撤去に充てることとなりまし
た。その後は矢板側に移動してアマモの観察です。頭の中が「ギマ、ギ
マ、ギマ」状態の私はボ岩側を潜行して、真っ直ぐ沖に向かいました。夏
場から大発生しているアオサは、この日も場所によっては海底を覆い尽く
すほどです。アマクサアメフラシも沢山いて、アオサを食べているのです
が、アオサの生長の方が圧倒的に速く、とても追いつきそうにありませ
ん。この日は天気が悪く、今にも雨が降り出しそうな感じです。冷たい風
が北東方向から吹いていて、水中も風によるウネリで揺れています。水自
体は透明感があるのですが、このウネリのため細かい砂が舞い上がり、陽
射しがないこともあり、透視度が悪く数m先がやっと見えるだけです。泳
いでいるうちにウネリで右に左に揺れるアオサを見ていたら、波酔いしか
けてしまいました。

 アオサの陰も探したのですが、肝心のギマは全く見つかりません。それ
ばかりか、10月にはあんなに一杯いたカワハギの幼魚やアミメハギなど他
のカワハギ類も見当たらず、不安が現実のものとなってしまいました。10
月の水温は21℃台、22℃台。ところがこの日はいきなり10℃台です。海水
魚は僅かな水温の違いに敏感で、0.05℃の違いを見分けられると聞いたこ
とがあります。種類によっては、急に1℃程度下がっただけで死んでしま
うものもいるそうで「やっぱりダメだったか」って感じでした。とりあえ
ず魚礁まで行って何も目新しいものがいないのを確認し、その後、アマモ
場まで戻ることにしました。途中、緑色したヨウジウオがいました。アオ
サが多いので体色をアオサに似せているようです。こんな被写体滅多に出
遭えないと思い、撮影を試みましたが、ウネリでうまく撮れません。ヨウ
ジウオの方も非常に元気で泳ぎ回りながらスポイト状の口で盛んにプラン
クトンを食べていて、チョコチョコと移動してしまいます。

 ギマにも振られ、ヨウジウオにも相手にされず、失意のうちにアマモ場
に行くと、青いドライスーツの人が水中ナイフで一所懸命、ロープを切っ
ています。私も手伝おうとしましたが、水中ナイフを持ち合わせていない
私は結び目を解くしか手立てがありません。でも、水温が低く手がかじか
んで指が思うように動きません。しかも、1年以上もテンションが掛かっ
ていたため、結び目は硬く締まっており、その上、付着生物が一杯着いて
います。そのうちにみんな来るだろうと思って、解けそうな結び目を捜し
ながら待っていたのですが、誰も来ません。かの青ドライの人も何時の間
にか消えてしまいました。

 浮上して水面に顔を出すと、他のメンバーはもうエキジットしたようで
す。急いで戻ると私が最後でした。他のメンバーもロープを切るものがな
いため、ロープの撤去は仕方なく諦めたとのことでした。生物観察のあ
と、遅れて行った格好の私だけがとり残されたみたいでした。そして、あ
の青ドライの人は「坂本さんだったんだ」と岸に着いてから分りました。
手にはロープを留めていた鉄杭を何本も持ってニコニコしていました。鉄
杭は1本だけでもかなり重いのに、それを泳いで何本も持ってくるなんて
「坂本さんはやっぱり根性で潜る人なんだ」と妙に納得してしまいまし
た。

 このあと、続けて矢板側のアマモの調査です。海苔ヒビが建てられ、野
島はすっかり冬の風景になっています。この日は中潮で干潮は12時半。潮
がかなり引いているとの期待は見事に裏切られ、岸から入ると腰の上まで
どっぷりと浸かり、ちょっと行くと胸までになってしまいました。「矢板
の先端の157m地点までは行けないな」と思いながらも、根性で進む坂本
さんに先導される形でついていくと、ついに足がフワフワと浮き出してし
まいました。北東風に押されて相変わらず大きなウネリが次々とやってき
て、ウネリの山になると足が浮いてしまうのでした。坂本さんに先端まで
行くのを断念していただき、今回は途中の地点からの調査にしていただき
ました。フルの調査ではなかったものの、今回は陸上班が多かったことも
あって人数が少ないことと、ウネリとそれによる濁りもあり大変でした
が、何とか調査を終えることができました。

 ボ岩側と矢板側と合わせて2時間近くも冷たぁーい海に入っていたの
で、お腹がぺこぺこです。お昼はいつもの大盛り中華屋さんの出前です。
そして何を注文するのか考えるのが毎回の楽しみなんです。私は体が冷え
切ってしまったので内側から温めたかったことと、年に一度の成人病検診
が目前に迫り、余計な脂肪分を口にしたくなかったので、今回は五目ラー
メンにしました。普通の五目ラーメンはトッピングが本当に「五目」しか
ない感じですよね。でも、ここのは「十目」以上もあり、栄養満点!しか
も美味しい! 普通盛りを注文しているのに、麺も一般のラーメンと較べ
ると1.5倍もあります。大盛りを注文したらどうなっちゃうのかって感じ
です。ところが手がかじかんで、思うように箸が使えません。安齋さんか
ら戴いてホッカイロと、ラーメンの丼とで指先を温めると、何とか指先が
動くようになり食べることが出来ました。満腹して今回の定点観察は終了
です。次回は成人病検診も終わっているので、こってりしたものでも食べ
ようかな。

 観察した魚種は以下の通りです。
ヨウジウオ、メバル、ネズッポ科の1種(種類不明)、スジハゼ、ヒメハ
ゼ、ニクハゼ、クサフグ

潜行開始:10時16分、浮上:11時08分、潜水時間:52分、水深:最大2.3
m、平均1.4m、水温:最低10.0℃、平均10.9℃、
天候:曇一時小雨、風:北東風

--------------------------------------------------------------------------------

                              目次に戻る