2005年7月24日(日)  金沢区生涯学習講座報告  


「一般人には戻れない 」

  今回は金沢区主催の生涯学習講座「金沢の自然をあそぼう」のお手伝いです。この講座は小学生〜成人約30人を対象に海から山まで全6回で行うもので、第 3回の「海であそぼう」では海会メンバーが講師役を務め、野島海岸でのビーチコーミングと生き物を観察します。この日は朝からあいにくの雨でしたが、代替 日がないため決行することにしました。坂本さんは強烈な晴れ男ということで、始まるころにはほとんど止んで助かりました。というより熱中症や脱水症を心配 しなくて済み、むしろ好都合です。


 私は前日から家族で油壺マリンパークの夜の水族館探検に参加、朝早く油壺を抜け出して野島に来たのでした。ついでに書きますと、マリンパークで はバンドウイルカやイワトビペンギンに触ったりする企画もあり子どもだけでなく大人も楽しめました(えっ? 単に子どもに戻っただけだろうって・・・)。 暗くなるまでの時間を使って、魚の鳴き声を聞く実験もあり盛りだくさん。夜の水族館は初めての体験で、暗闇の中でウミホタルの発光実験などもあり、とても 有意義でした。


 話を戻しますと、午前中はビーチコーミングで全体を4班に分けて、海会メンバーがそれぞれ1〜2名講師を担当することになりました。ビーチコー ミングとは、米国から入ってきた概念で、簡単に言うと海岸で自分のお宝あるいは気に入ったものを探すというものです。コーミングのコームは英語でくしのこ とで、くしのingで(動名詞ってヤツですよね)くし取るように探すことからこの名がついたようです。野島海岸に移動してコーミングの遊び方の説明です。 ビーチコーミングが終わったら各自の宝物をひとつ発表してもらうことにして、いよいよ宝探しです。


 さて何を探そうか悩んでいると、お弁当についている小さい醤油差しに焦点を絞って集めている木村さんのやり方に衝撃を受けました。「こんなやり 方があったんだ」。確かに、醤油差しは魚の形をしたもの、円筒形のものなどがありますが、似たものでも微妙に異なり、面白そうです(なんか20種類くらい 集まったみたいです)。それをみて私は「夏」をテーマにゴミ拾いすることにしました。まずはペットボトル。「夏***」と商品名が書かれているのをゲッ ト。夏の限定販売なのでしょうね。ほかに打ち上げ花火の燃えカス、ロケット花火の柄、日焼け止めクリームの容器、夏は行楽シーズンということで弁当の容器 も「夏らしさ」に入れました。


 こちらがゴミ集めに精を出している一方、私の班の参加者は家族連れがだったためか、野島の海が面白いためか、生き物集めに熱中しておりました。 すでに潮が引きかけており、海岸で宝探しというより、浅瀬で生き物探しという感じです。「これじゃあ、午後の生物観察と同じじゃん」と思いながらも、それ が宝なのですからしょうがありません。海に来たら、子どもはなんと言ってもカニ捕りですよね。ケフサイソガニ、ヒライソガニ、マメコブシガニのほかガザミ の抜け殻を拾ったお父さんもいました。貝殻を拾い集めている人もいました。途中で参加者を集めて、砂浜の中のレジンペレットを見せました。何人かは興味を 持ったようですが、結局、生き物探しに戻ってしまいました。気持ちは良く分かります。


 東屋に戻って、班ごとに自分のお宝の発表会です。ほとんどの方のお宝は、やはりカニなどの生き物でした。一応、名前を説明しておき、マメコブシ ガニについては死んだふりと前に歩くことが得意技であることを伝えたら、結構、喜んでくれました。そして最後に私の宝物の説明です。「ゴミが宝かって?言 われそうですが、夏に注目して集めてみたら、いろいろと集まりました」と得意になって説明したのですが、参加者の視線はちょっと冷たそう。こちらは海会に 入って何年か経ち、ゴミ集めが得意技になってしまいましたが、一般の人は違いました(もう一般人には戻れないのかぁーーー)。ゴミというとやはり抵抗があ るみたいでした(しょぼん)。あと、ゴミを話題に出しましたので、野島のゴミ問題についても一通り話しておきました。


 海会メンバーは研修センターの裏に戻って昼ごはんです。今回は会からの支給ということで、全員、出前の中華カツカレー。2年ぶりくらいに食べま す。本当に美味しいのですが、量が・・・。カレーライスだけで普通の2倍、それにドでかい豚カツが乗っているのです。何人かは汗だくになって必死(?)に 食べています。私はあまり汗をかかない方ですが(冷や汗は別ですけど)、私も一気に体温上昇、ふうふういいながらも何とか完食しました。全部食べると本当 に、くっ、くっ、苦しいって感じなんですよ。大食いの人でまだ食べてない方は一度、研修センターの裏で食べてみて下さい。値段はリーゾナブルですので。


 午後は4班を2班に再編してアマモの観察と干潟の生物観察。干潟の観察では、アサリ、カガミガイ、カニなどがやはり人気。ガザミの抜け殻がまた ありましたので、脱皮について簡単に説明しました。ホルモンに支配されている話とか、脱皮前に殻にあるカルシウムをできるだけ回収して殻を薄く柔らかくし て脱いだあと、新しい殻にカルシウムを戻して硬い殻にするとか。ついでに、カニとエビは同じ仲間で、専門的には十脚目に入り、カニのハサミも足ですので、 どちらも左右合わせ足が10本あるんですよと伝えました。抜け殻を使って身振りを交えながら、カニはもともとエビみたいだったのが、お腹(褌の部分)を折 りたたんでカニに進化したというような説明をしました。カニの褌を伸ばすとエビと同じ形になりますよねって感じで。あと、カニ団子なども見てもらいまし た。観察を終えて、海辺をテーマとした生涯学習講座は終わりとなりました。ほっ!


 ところで、今回もそうでしたが、干潟でアサリを観察すると、違った柄や色のアサリを指して「これもアサリですか?」って質問が結構多いですよ ね。同じ環境に棲息するシオフキやバカガイなどの殻はワンパターンなのに、なぜアサリだけが殻の模様や色を多様化させたのでしょうか。多様化することで生 存率が高まったとみられますが、天敵のツメタガイやヒトデから逃れるのに殻の模様や色は関係ないので、視覚を使って貝を探して食べるシギなどの鳥類に対し カモフラージュの意味がありそうなのですが、私にはよく分かりません。答えが分かったら、今度、それも交えて解説してみようと思っています。


 当日、別の班を受け持った西さんが観察した種類は全部で以下の44種です(すごい!)。

アサリ、カガミガイ、シオフキ、マテガイ、ソトオリガイ、ムラサキイガイ、マガキ、サルボウガイ、アカニシ、ツメタガイ、アラムシロガイ、イボニ シ、レイシガイ(岸壁にいた)、ヒザラガイ(子供が岩から剥がしてきた)、メリベウミウシ(反田さんが採集)、アメフラシ(ウミゾウメンのみ)、ミズクラ ゲ、タテジマイソギンチャク、クロガネイソギンチャク、アナアオサ、エビジャコ(ウリタエビジャコ?)、ニホンスナモグリ、アナジャコ(抜け殻)、イシガ ニ、ガザミ(抜け殻)、イワガニ、ケフサイソガニ、イソガニ、コメツキガニ、チゴガニ、フナムシ、ヨツハモガニ、スゴカイイソメ、タマシキゴカイ、ミズヒ キゴカイ、アマモ、コアマモ、オゴノリ、マヒトデ、マハゼ?、イソスジエビ、シロボヤ、ユウレイボヤ、マナマコ

                     

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