2005年9月4日(日)金澤水の日報告  


「大地震の予兆?」

 今日は金澤水の日。海会を含め金沢区の水に関係する団体が集まって、いろいろなイベントを行うもので、今回で何と12回目。水の日はこれまで10月に行ってきたのですが、山下公園海底清掃も10月なので、立て続けのイベント・ラッシュということもあり9月に実施することになったと思います(記憶が確かではありませんが)。海会はこれまで、水槽展示、タッチプール、地曳網・生き物観察、野島のワカメを使った味噌汁配布などを行ってきましたが、今回は地曳網を行うには人数が足りず、地曳網・生き物観察は中止となりました。それでも多くのスタッフの方が前日から研修センターに泊まり込んで、水槽展示・タッチプール用の生き物を獲ったりしたそうです。狩猟本能が満たされるという特典があるものの、水運びなどの重労働もあり、前日に参加された皆様はどうもご苦労様でした。二日酔いの人がいたりして、前夜は相当盛り上がってんでしょうね(楽しそう)。

 私は当日からの参加です。今回は自分の発案でアサリの浄化実験と殻長2.0cmのアサリ当てクイズを研修センターのビジターホール内ですることになりました。前夜に家でA4のコピー用紙に娘のクレヨンを使って「アサリの浄化実験」「2cmのアサリ当てクイズ」などと書いたポスターを作成しました。あとは当日、始まるまでの1時間が勝負です。坂本さんに用意していただいたアサリの殻をノギスで測ると、どれも3cm以上の大きいものばかりでしたので、まずは水路に行ってアサリの貝拾い。1.1cmから3cmちょっとのものまで数10個集めました。そして次は用意してきた2リットルのペットボトル3個に浄化実験用の海水を汲んできて、すぐに水路に戻ってアサリ探し。朝なので、まだ満ちていたのですが、水路ではどこを掘ってもアサリだらけ。比較的粒の大きいものを10個採ってきました。浄化させる濁り水をつくるための泥もスーパーのレジ袋に入れ、これで準備OKです。

 野島や海の公園のアサリは漁業権がないため、誰でも採ることができるのですが、資源保護のため2cm以下のアサリを採ることが禁じられています。ところが2cmのアサリといってもすぐに大きさが分かる人はほとんどいないと思い、クイズ仕立てにして2cmのアサリはこんな大きさだということを認識してもらうとともに、小さいアサリを逃がすよう啓蒙するのが目的です。アサリの殻長をノギスで測り内側にペンで1.8とか2.7とか長さを書いていきました。でも、やっていくうちに1.9とか2.1はあるものの、2.0ちょうどのがありません。「あぁ、どうしよう。もう一回貝拾いに行かないとマズイかな」と思っていると、終わり近くになって立て続けに2.0cmのアサリが3個出てきました。ふぅ、助かった!

 数字が見えないようにアサリの表を上にして、2.0のアサリを探してもらいます。これでクイズの準備は終わり、今度は浄化実験の方です。生き物観察に使う小さなプラ水槽を3個用意して、そのうち2個にアサリを5個ずつ入れ、もう1個は比較用(対照区)としてアサリを入れないでおきます。海水を入れ、その中に泥をひとつまみ入れると濁りましたが、思ったほどには濁らず、対照区のものが沈殿して濁りがとれてしまったら困るなぁと思いながらも、やってみることにしました。アサリの2個の水槽は30〜40分の時間差を設けてみました。泥を入れて10分後、アサリの方はすでに水が澄んできています。アサリのいない方は沈殿していますが、それでも少し濁っていて差がはっきりしてきました。とりあえず成功のようです。

 そうこうしているうちに、子どもたちがもう集まってきました。場所は研修センターの入り口の脇で立地条件は最高。しかも、坂本さんの家で増えた子ウサギ3羽を差し上げますとのことでゲージに入れて隣に置いてあったので、このウサちゃんが集客までしてくれました。「2cmちょうどのアサリを探してごらん。裏に2.0って書いてあるのが正解だよ」と言うと、みんな一所懸命探します。頃合いを見計らって「2cm以下のアサリは採っちゃいけないんだよ、大きくしてから採ろうね」とか、3cm近いアサリを指して「この大きさになると卵を産むから、卵を一度、産ませてから採るともっといいんだよ」とか言うと納得してくれます。「こんなに小さいのなんて採らないよ」という反応があるケースが多いのですが、中には「もっと小さいのまで採っていたわ」というお母さんまでいました。ただ、未就学児とみられる小さい子はアサリを集めて「おままごと」になってしまいました。

 途中から坂本さんに持ってきていただいた野島貝塚のアサリ2個を展示しました。現在の貝殻で一番大きかったのは4.5cm。一方、貝塚のアサリは5cm以上、大きいほうは欠けていますが推定5.7cm(?)と格段に違いました。現在のアサリはやはり漁獲圧で5cmアップまでは生きていられないのかもしれません。それと、現在の3.7cm以上のアサリは模様に段差ができています。違う小さい貝をまるで貼り付けたようなもののありました。おそらく2年前の大規模な赤潮後の青潮による成長阻害が貝に刻み込まれたものと思われます。あの青潮を何とか生き残ったアサリだったようです。そうすると、このアサリは3年ものってことになりますかね? それとも2年半ものかな?

 浄化実験の方は想定以上の反応です。特に大人が興味を示します。1個のアサリが濾し取る能力は1時間に1〜1.5リットル、入水管から海水を飲み込んで、食べられる分は胃に送って、それ以外は偽糞として絡めて出してしまい、偽糞はカニやゴカイなどの餌となり、海水の浄化や干潟の生物の多様性に役立っている旨を説明しますと真剣に聞いてくれます。「アサリを採ることは海の浄化を妨げることにつながるのでは」とか「重金属などの汚染物質が蓄積してアサリを食べることは危険ではないのか」といった質問もあり、自分なりに答えさせていただきました。ほかに、行政関係の質問がいくつかあったのですが、ちょうど居合わせた安田さんが明快に答えてくれて助かりました。それと、アサリが動くところを初めて見たという人もいました。また、「これは何ですが、ベロですかね」と足を差して言う人もいました。どうもベロで泥を食べていると勘違いしたようです。

 そして極めつけは「最近、アサリを採っても採ってもどんどん増えているでしょ。これはね、大地震の予兆なのよ。逆にシャコは全く獲れなくなっちゃたらしいから、生き物は地震が来ることを分かっているんだわ。準備しておかないと危ないわよ」。う〜ん、ナマズでなくてアサリかぁー? そういえば
私の父親が干潟に行った時、干潟全体のアサリが突然、潮をぴゅっ、ぴゅっ、ぴゅっと噴水のように一斉に噴き出したのを見たことがあるそうで、もしかしたらアサリは何か地殻変動など感じる能力があるのかもしれないけれど・・・。それはそうとしても、アサリが増えるのと地震とは関係あるんでしょうか?

 探究心旺盛な坂本さんがペットボトルの飲み残しのお茶を入れた海水で浄化実験を始めました。お茶は懸濁液ではないようなのでアサリが濾し取れるかどうか分かりませんが、入れたお茶が渋すぎたのか、中に入れたアサリは口を開かずじまい。シオフキがすまなそうにちょっとだけ口を開けただけでした。お茶以外では、伊東さんが以前、実験したところでは野菜ジュースでは口を開き、何とか濾し取ったとのことですが、牛乳などはどうなんでしょうか。今度、実験したいと思います。

 そんなことをしているうちに閉会式となりました。ほとんどの時間をホールの中で過ごしたので、海会の他のイベントがどうなったのか全く分からないまま終わりを迎えてしまいました。このあと、後片付けと水槽洗いなどを手伝い海会としても終わりになりました。くだんの3羽のウサちゃんは全員、貰い手がついて里子に出されました。新天地で長生きできるといいですね !!つ゜  ←ウサギのつもり



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