2001年7月7日 芦ノ湖湖底清掃参加者からの感想文です。

―湖底清掃感想文―

 今回、湖底清掃を初めて行ってみて心底感じ、そして、ショックだったことは・・・わかっていたことですが、あまりにも多くのゴミが湖底に沈んでいたことです。
 私は、東京湾海底のゴミの研究を行っている経緯から、今まで山下公園での海底清掃において、ダイバーとしてではなく陸上清掃班(及びゴミ分類班)として参加し続けていました。そして、ダイバーが海底から回収してくるゴミを分類し、飲料缶については製造年を調べて年齢構造を明らかにしていました。確かに回収されてくるゴミは、非常に多いものでした。しかし、今考えると・・・その時、私の目に映った映像は、あまりにイメージ的に薄いものだったと言えます。実際に湖底(海底)に潜ってみてみると、そこにはあまりにもショッキングな映像が待っていました。潜った瞬間、私は、「えっ、このゴミすべて回収するの?全部回収するのは、無理だよ!!」と、心の中で叫びました。私の潜った桟橋下の湖底は、きれいな水面から想像できないくらいの(飲料缶類を中心にビッチリと)ゴミで埋め尽くされていました。どこの海を潜ってもゴミは多少あります。自分の経験では、東伊豆の方でもゴミが堆積していましたし、あのきれいな海のプーケットでさえゴミを見ることができました。しかし、今回潜った芦ノ湖は、特別で今までに見たことのないような大量のゴミが堆積していました。このゴミを捨てた人々に対して、「湖をゴミ箱と勘違いしているのでは?」、「捨てたゴミは、誰が拾うの?」と質問したい気分が込み上げてきました。
 今回、湖から回収されたゴミは、長年数十年間に渡り堆積し続けたゴミだと考えられます。飲料缶の製造年を調べてみたところ、20,30年前の缶もかなり回収されていました。山下公園での飲料缶の年齢構造を調べてみたところ、年々、ダイバーの清掃により古いものはほとんど取り除かれ、新しく捨てられた缶しか回収されないという結果が示されていました。しかし、芦ノ湖の場合、はじめての湖底清掃だったため、約20,30年分のゴミがゴッソリと溜まっていたのだろうと考えられます。
(写真右から1970年代、19836年、1982年)
 今回の湖底清掃で、ゴミは捨てるとそのままの形で長期間堆積し続けてしうことなど、ゴミを海や湖に投棄することの重大さを今回あらためて心に刻まれました。そして、ますます、世間の人々にその重大性のアピール(環境教育)が必要であることを再認識しました。そのために私が行っている「東京湾海底のゴミの研究」などももっと多くの人に知ってもらえるように努力しなければと痛感いたしました。今回の湖底清掃は、私自身の大学における研究の必要性とゴミ投棄の重大性の両方を再認識できた良い機会だったと思います。このような湖底の清掃に参加できる機会を作ってくださっている坂本さんを始めとした「海をつくる会」の皆様に心から感謝したいと思います。ありがとうございます・・・。

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 東京水産大学
  海洋生産学科 生産システム工学講座
  機能材料設計学研究室
  博士課程後期3年目 
    栗山 雄司
    tintou@geocities.co.jp
    kyuryiman@dream.com
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