なっちゃんのニカラグア通信

海をつくる会会員のなっちゃんが青年海外協力隊員としてニカラグアに赴任しました。
ニカラグアからのレポートをお届けします。

ニカラグアより VOL.1
ニカラグアより VOL.2
ニカラグアより VOL.3


ニカラグアより

200452日 VOL.1

はじめに

この国の人は道ですれ違う人に”ADIOS”(アディオス)と声をかけます。たまにこちらが日本人と見て、だれが教えたのか、「さよなら!」という人がいたりします。「アディオス」は確かに直訳すると「さよなら」、この場合は「やあ」みたいな感じなのでしょう。

私は今、ニカラグアという国に青年海外協力隊の隊員として赴任して、約1ヶ月になります。411日にはじめてこの国に降り立ったとき、夕方のむっとする湿気をふくんだ暑さが沖縄を旅行したときの感覚を思い出させ、街に車で移動するときに映った風景は貧しい国と聞いていたにもかかわらず以外ににぎやかで、コンクリート製の建物とアメリカナイズされた看板は少し沖縄本島の雰囲気に似ているような気がしました。

ニカラグアという国は日本との時差が15時間、中米、アメリカ合衆国より少し南、パナマ運河があるパナマより少し北に位置する国です。西は太平洋、東はカリブ海、湖と森と火山のある国、植民地時代、スペインに統治されたため、公用語はスペイン語、面積は13万u(日本の3分の1)人口は520万人、GNPが約500USドルの中米一貧しい国です。この国では80年代まで内戦が続き、またハリケーンなどの天災の影響もあり、疲弊した経済の復興がいまだ進んでいないようです。

私の仕事は小学校で導入された環境教育の授業にこの国の先生とともに取り組むこと、とくにごみ問題、森林問題への取り組みに重点が置かれています。この国の美しい自然は内戦とかつて外国資本による開発がすすんだことなどにより破壊、汚染がすすみ、街にはごみが溢れ、そのごみの不適切な処理方法も土壌汚染などの問題を招いています。途上国というと未開発の美しい自然を思い浮かべるのが普通でしょうが、それはかつてのことです。たとえば先進国のようにごみをきちんと分別回収し、焼却、埋め立てするシステムはコスト面から途上国では難しく、この国では回収するものの、分別せず、自然の谷におとし、ガソリンをかけて燃やすというのが現状です。開発とともに環境を守るのはコストも技術も必要、しかし人々の生活様式にそれが追いつかず街には生活ごみが溢れ、ゴミ捨て場ではプラスチックが燃やされ一日中くすぶり続け、その中でごみ拾いをして生計を立てる人たちが生活しています。私の仕事はこの国で、街にごみを投げ捨てる人々の意識を変えるための教育をする、それが環境教育です。

★青年海外協力隊について

私は神奈川県の小さな街、逗子市の職員です。青年海外協力隊参加にあたり、外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律(通称派遣法)に基づき、外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する条例(通称派遣条例)を制定しその適用を受け、派遣職員として、ニカラグア教育文化スポーツ省に派遣されています。こういった参加の形式を現職参加といい、JICAでは多くの人に協力隊参加の機会を与えるため、現職参加を推進しています。

青年海外協力隊とはJICA(国際協力機構)の実施する途上国への人による援助のひとつで、20歳から39歳までの青年を途上国に派遣し、途上国の人たちと同じ言葉を話し、同じものを食べ、ともに生活する中で、技術を伝え、途上国の社会の発展に寄与する活動をするボランティアです。隊員は生活費を支給されますが、報酬にあたるものはありません。

主に金銭的な援助は外務省が行っていますが、青年海外協力隊はそれが届かないような住民の中に直接入っていける草の根の援助です。そして、途上国の発展に寄与するだけでなく、日本の社会に戻り、その経験を伝え、日本の社会に還元すること、内なる国際化をはかることも求められています。多くの企業や官公庁が社員または職員を現職のまま協力隊に参加させるのは、2年間の活動を終えて戻ったときに直接的または間接的に社会に還元する場として元の職場に戻れるようにすることが望ましいと考えられるからです。

私は逗子市の職員になって7年間、主に固定資産税の担当として働いていました。今回の協力隊参加にあたり環境教育という職種で応募しましたが、現在までの仕事に関係するものは残念ながらほとんどありません。しかし、仕事以外の時間で環境系の市民団体に所属し、主に海の環境保護に関する活動に参加していました。環境分野は行政の果たす役割が大きく、逗子市でも積極的に環境に対する施策をとっています。したがって2年後に帰国したときに仕事に生かすことも可能であり、また直接的にその分野で働くことがかなわなくても、行政で仕事をする上で、経験を間接的に生かしていけると考えています。

内なる国際化とは、普通に仕事をする日本人の人たちの中に自然に協力隊の参加経験者がいて、次の若い職員が自分も参加したいと考えたとき、普通に参加を希望し、応募し、帰国して職場に戻ってこられることだと私は思います。今回私の場合はこれまで市において派遣された前例もなく、条例が制定されていなかったこともあり、財政難、そしてワークシェア構想に基づく職員削減を推進しているにもかかわらず理解してくださった方々がいたおかげで、条例が整備され、現職参加することができました。応募を考えてから実際に参加できるまでに約2年、いろいろな経験談も聞き、途上国でボランティアをする仕事にずっと憧れのようなものを抱いていました。合格するために1年、条例の制定を待つために1年、その後3ヶ月の訓練を経てこの国に来ることができました。もちろん、現職参加を推進しているJICAが人件費等の補填をしていることで、財政的負担が逗子市に対してないことも重要ですが、ワークシェア手法の導入により職員削減を図るからこそ、職員の能力開発をと言われており、進学等のための自己都合休職などの制度導入も検討されている現在、自己都合による協力隊参加も認められるべきで、そのような人材を生かせるような人事政策を採って欲しいと願っています。

★近況

 現在、首都マナグアから車で一時間ほどの比較的涼しい小さな街、サンマルコスというところに一ヶ月間滞在し、一般家庭にホームステイし、語学学校に通っています。これは到着したばかりの隊員に義務づけられる現地訓練で、ニカラグアという国になれること、語学力の補完、職種に関係ある施設の見学等を通じて、ニカラグアの事情を把握することなどを目的にしています。この訓練ももうすぐ終了し5月中旬に任地に派遣され、仕事が始まります。次回のこの通信で、任地のこと、仕事のことなどもうすこし詳しく書きたいと思います。

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